なんだかちょっと鬱ってるので・・・
ちょいほんわかしたssを書きたいなぁ・・・
こういうときはもちろん、
なのフェイです!!
なんかでも、少しうじうじ感があるかも。
追記よりおねがいしまーす
【帰ってくる。帰ってきた。】
家に帰ると、珍しくヴィヴィオのほうが早く帰宅していた。
リビングのドアをあけると、ソファーに浅く腰かけた彼女は、こちらを見て、おかえり、と言ってくれる。
「ただいま」
彼女に少し微笑んでから、カバンを椅子に置いて制服の上着を脱いでハンガーにかけた。
「もしかして、カレー作ってくれたの?」
玄関を通った時からすでにわかっていたが、改めて彼女に尋ねると、彼女は見ていた雑誌から顔をあげることもなく、うん、と返事をする。
「ごめんね、ヴィヴィオ」
本来なら自分の役割なのに、と申し訳ない気持ちから、思わず彼女に謝る。
すると彼女は少し不愉快そうに顔を上げると、そのままソファーから立ち上がった。
食卓に読みかけの雑誌を置くと私のもとまで歩み寄る。
「もう・・・なんで謝るかなー・・・」
そう言う彼女はやはり不機嫌だったが、しかし私の頭をそっと撫でてくれた。
「そうだね・・・変だよね・・・えっと、ありがとう」
私がそう訂正すると、今度は微笑んでぎゅっとだきしめてくれる。
「ふふ、いいえどういたしまして。さ、着替えたらご飯にしよ?」
「うん」
いつの間にか彼女の身長は私を越していて。
いつの間にか彼女の腕は私の背中を包みこめるほどに伸びていて。
「それとね、なのはママ。いいおしらせがあるよ?」
「いいおしらせ?」
彼女は両肩を持って、私と少し距離をとると嬉しそうに顔をのぞきこむ。
「フェイトママ、明日帰って来るって!!」
彼女の喜色に満ちた顔は、今度は逆に昔そのままで思わずその頬に手を伸ばす。
その頬はじんわりと温かいように感じるが、指がしびれているようでよく分からない。
―――また・・・夢じゃないよね?・・・あたたかい・・・よね?
「そっか」
フェイトちゃんが帰ってくる・・・
彼女は今回の任務で、連絡もできない場所にいたため、今回は正真正銘の一年ぶりだ。
深く息を吸い込む。
「そっか」
聞きたい言葉ではなく、先ほどと同じ言葉がこぼれた。彼女の長期任務の間、私は決まってフェイトが帰ってくる夢を見てしまう。
目が覚めて涙が止まらなくなり、ヴィヴィオに背中を撫でてもらってなだめてもらったことも一度や二度ではない。
また深く息を吸い込む。そして聞いた。
「ねぇ・・・ほんと、だよね?」
直感では分かっている。返事を聞かずとも分かっている。
彼女は微笑みながら、うなずいた。
私もおそらく、気持ち悪いほど喜色満面に違いない。
「そうだよ、なのはママ。フェイトママはやっと帰ってくる。ほんとは夜ご飯の時のサプライズにしたかったんだけど・・・それにしてもまったく・・・この一年間、私とはやてさんは苦労したよー・・・」
彼女は私の鼻先をツンと人差し指でつつく。
「もうっ・・・うれしそうな顔ー!!」
私は恥ずかしくなって両方の掌で顔を覆うが、自分でも赤くなっているのが分かりさらに恥ずかしくなる。
「明日の夕飯のメニュー、考えなきゃね?」
ヴィヴィオがテーブルに置いていた雑誌を私に押し付ける。
先ほど彼女が読んでいた雑誌は、月刊の料理雑誌だったようだ。
「ほらほら、それじゃ席について!カレー持ってくるから」
彼女に肩を押されるままに、席に着いた。
台所へ向かう最愛の娘のことを見つめる。またさらに背が伸びたのではないだろうか。
おそらくフェイトもびっくりすることだろう。
はやい鼓動をおさえるように胸に手をやりながら、まだ時空の向こうにいるであろう彼女に想いを馳せた。
* * * * *
「今回は長かったなぁ、フェイトちゃん」
艦船を下りると、すぐそこに彼女がいた。
「はやて・・・出迎えてくれるのはありがたいけど・・・その・・・」
そして彼女はあいさつもそこそこに胸へ手を伸ばしていた。
「その手をどけてください、はやてさん。なのはママが爆発したらミッドが塵に・・・」
しかし、今では彼女の優秀な補佐官でもあるヴィヴィオが素早い動きで彼女の両手を拘束した。
「ちょ、ヴィヴィオ!!司令補佐が上官を拘束具で拘束するとは何事やぁー、越権行為や!!」
「今のははやてちゃんがわるいです!!いい加減にしないとリインも怒りますですよぉ!!」
はやてのよく回る舌にも、もう一人の司令補佐がすかさず対抗する。すばらしい連携だ。
「ヴィヴィオ、リイン、ありがとう」
「うん。おかえり、フェイトママ」 「おかえりなさいです、フェイトさん」
そして私は、最愛のひとに近づくと、抱きしめた。
「ただいま、なのは」
一年ぶりだ。こうして話すのも。こうして触れるのも。
少し離れて目を見つめると、蒼い瞳は涙の膜を震わせていた。
「おかえりなさい、フェイトちゃん」
しかし、彼女は私を責めることなく、微笑んでこう言ったのだ。
いつもそうだ。送り出す時も、迎える時も。
そして、私が執務官を止めない限りはこれからもずっと続く「いつも」なのだ。
「うん、ただいま」
私はもう一度呟いた。今度は彼女から抱きついてくる。
「おかえり・・・おかえり!!・・・ふぇいと、ちゃん・・・」
震える声に気がつかないふりをする。世間から見れば、私はなんてひどい恋人だろう。
しかしこれからも甘えてしまうのだ。
「待ってたよ」とも「寂しかった」とも言わない彼女の強さに縋って・・・
「あの、ね・・・」
彼女が私に抱きついたまま耳元で囁いた。
「ん?」
私は彼女をあやすように背中を撫でながら、聞き返す。
「ぶじに、かえってきて、くれて・・・ありがと・・・」
言い終わると同時に、彼女はいっそうきつく抱きしめてきた。
視線の端に見える彼女の耳はほんのりと赤い。
「あー・・・ほらほら、みんな何事かと思ってこっち見とるけど・・・ええか?」
はやての声掛けにあわててなのはは私から離れた。
「もう・・・なのはママもフェイトママも、おうちに帰っていっぱいお話ししてくださいっ」
ヴィヴィオも呆れた声で私たちを叱る。
「ご、ごめんなさい」「反省してます・・・」
そうだ。あとでゆっくりたくさん、お話をしよう。
たくさん話して。たくさん触れて。たくさん彼女を感じて。
それが叶う「今」を大切にしなきゃいけない。
だって今はもう、「この場所に」帰ってきたのだから。
【END】
全然ほんわかじゃないw
ちょっとおとななヴィヴィオが、
ママたちを「しょうがないなぁ」って思って、世話焼きさんポストに落ち着いてたらなぁっていう願望ですたw