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あぁ・・・



ちょっと久々?の更新ですw


そして久々のなのはやを書いてみようかな、と。

えっと、エロなし!!(わざわざ言うなっていうw)


プチモルトの書くものが駄文であることをうけいれてくださるかただけ、追記よりおねがいシャっす。



【このミルクは貴女のために】



地上本部と機動六課の襲撃。
死者が出なかったことを奇跡と呼ぶほかないほどの惨憺たる光景を私は忘れられない。
すべては部隊長である私の采配ミスだった。
シャマルやザフィーラをはじめ、当日六課に残したメンバーはことごとく負傷した。
部下であるスバルの大切な姉は、彼女の目の前で連れ去られた。
長年の親友高町なのはに守らせてあげたかった保護児童も誘拐された。
あの日、後手に後手に回った結果、誰もが苦しみを背負う結果を招いてしまったのだ。
それなのにまだ私は部隊長の地位にあった。
これほど自分の役職に、任務に、慄いたことがあっただろうか。
すべては悪い夢であってほしいと思った。
しかし逃げることなど到底できるわけがなかった。
だから私は・・・まだ部隊長でいるのだ。
すべての幸せを取り戻して、悲しみを打破して、責任をとるのはそれからだ。

瞬きする間も惜しみ、新しい情報をかき集め、統合した。
何としても、彼らの居場所をつきとめなければならない。
局の上層部とも何度だってぶつかった。
隊長やフォワードたちが来るべき決戦で思うように戦えるように。
手を止めてはいけない。考えるのをやめてはいけない。

私は夢の部隊の、部隊長であるのだから・・・


「いい加減にして、はやてちゃん」


静かな声に顔を上げると、目の前に彼女がいた。
今入ってきたような様子でもない彼女に、私は少し戸惑った。
いつからいたのだろうか。注意深く様子を見る。
感情を露わにすることがない彼女が、珍しく怒気を露わにしていた。
たしかに心当たりはあった。十年も前から付き合ってきたのだ。
彼女は私を叱りに来たのだ。彼女が怒りという感情を彼女自身のために行使したことは一度もない。


「なのはちゃん・・・ごめんな、気がつかんかった・・・どうしたん?」


それでも私は、そのような彼女の怒気には何も気がつかないふりをして答えた。
戸惑いにより少し間があいてしまった不自然さを取り返しておきたかった。

「コーヒーでええか?ちょおソファーで待っとってな?」

コーヒーメーカーに向かおうと椅子から立ち上がった私は、急に血液が体を巡ったのを感じた。
ふらふらと身体が揺れるのを、机に左手をおいて誤魔化す。
彼女がこちらを見ていなかったことを祈りながら、コーヒーメーカのある給湯スペースに向かった。
しかし、彼女のほうを見ることは怖くてできない。
彼女がソファーに座る気配がないのも不安だった。

―――誤魔化しきれんかったかなぁ・・・

無地のマグカップと、小さなウサギのプリントが上品に施されたマグカップを取りながら、私は小さく笑った。
彼女はもう私を叱るつもりできたのだ。どちらにしろ、誤魔化す以前の問題だった。

マグカップを手近にある棚において、コーヒーのパックをとろうと同じ棚の上にあるガラス戸へ手を伸ばした時だった。
ピリリっと体を何かが走った。おそらく眩暈だ。しかし目元を押えることで彼女を心配させたくはない。


「いい加減にしてよ、はやてちゃん」


彼女はまた同じ言葉を繰り返した。思い返すと、彼女はこの部屋に入って二度しか声を発していない。
用事があってきた彼女よりも、むしろ私のほうが積極的に話していた。
おそらく私は、彼女が言葉を発することを恐れていたのだろう。ガラス戸へ伸ばしかけた手は震えだした。
ゆっくりと彼女が歩み寄ってくる。空中で震えていた手をそのままに、私は彼女を見ることしかできなかった。
私の隣に彼女が来たとき、彼女が一番にしたことは私の挙げられたままの右手を下ろすことだった。


「コーヒーはいらない。それに、ソファーで待ってなきゃいけないのははやてちゃん。じっとしててね・・・」


彼女はやすやすと私を抱え上げた。

「また軽くなったね。嬉しくないけど」

彼女はソファーへ私を下ろした。下ろす時に余程気を遣われたのか、ゆっくりと優しく背中がソファーに触れた。
三人掛けのソファーはもともと背の高くない私が横になっても、あと30センチは余裕がある。
彼女は私の靴に手をかけて、右足、左足と脱がせた。
少し迷いながら、その靴をソファーから離れた仕事机のそばまで持っていき、その下に並べて置いた。
ソファーから下りる時のことを考えると近くにあったほうがいい。
私が少し戸惑った顔で彼女を見つめて身体をおこしかけると、彼女は私の肩を優しくソファーに戻しながら約束してくれた。


「ソファーから下りる時は私が持ってきてあげる」

彼女は上着を脱いで私の上にかけると、給湯スペースに向かう。鍋に何かを注ぐ音と、火にかける音がした。
そう言えば、このように横になるのは何日ぶりだろう。
ドキドキと待っていると、甘い匂いが漂ってきた。彼女が来るまで考えていた追いつめられるような気持ちが不思議と消えていく。
このように横になったまま期待していると、クリスマスの朝が来るのが待ちきれない子供になった気分になる。
しばらくして、彼女がマグカップをひとつもってきた。
普段私が使っている無地のマグカップからはふわふわと白い湯気が立ち上っていた。
さすがに寝たままでは飲めないので体を起こすと、彼女が私の横に座った。
先ほど立ち上がった時もそうだったが、やはりくらくらと頭が揺れる。
私が倒れる前に、彼女のほうから私の体を彼女によりかからせた。


「そう。そうやって、よっかかってていいから。むせないように、ゆっくり飲んでね」

彼女がマグカップを差し出す。オフホワイトの色をしている。甘い匂いがした。

「いいにおい・・・」

湯気に向かって思わず言葉がこぼれた。これは何だろう。
マグカップに口をつけると、さらに甘い匂いが私の顔を包み込む。
舌に触れ、喉を通るそのミルクは、鎮静剤のように私の心へと落ちていった。
そして、真実を教えてくれる味だった。
私は悲しみを打ち破るためなら、私自身がどうなっても構わないと心の奥底で思っていたのだろう。
大事な家族のため、親友のため、部下のため。その言葉を口実に必死に身を削れば、悲しみを打破できると信じ込もうとしたのだ。
だから彼女は言ったのだ。

『いい加減にして』、と。

彼女のいれたマグカップの中に、答えがあった。
私が身を削ることで、「悲しみ」が新たに生まれていたのだ。

「おいしい・・・」

明日謝ろう。心配をかけただろうみんなに。

「ありがとう、なのはちゃん」

でもまずは、隣にいる彼女に謝らなくてはいけない。思えば彼女も今回のこと、特にヴィヴィオのことで心を痛めているはずなのに。
やはり自分とは違うのだろう。強さの根本が。先日の襲撃や管理局崩壊の危機。今、この状況に置かれてなお、大局を見失わない。

「心配かけてしもて・・・ごめんな?」

もたれかかっている私のほうが彼女の下にいるので、隣にいる彼女の表情は伺えない。
もう一度口にマグカップを運ぶ。懐かしいこの甘さは、一体何だろう。

「眠たなってきたなぁ・・・」

正直にそう伝えると、彼女は小さく、いいよ、と呟いた。
ふと、彼女の声にわずかな震えを感じた。そのせいか、体も少しだけ震えているように思える。
起き上がるために身体に力を入れる。確かめなければならない。もし・・・そうなら。今度は私が・・・。
しかし力は入らなかった。何日分にも集約された眠気が一気に私を襲う。
私の手からマグカップがとられた。彼女はそのカップを正面の来客用テーブルに置くため手を伸ばす。
私の頭が、彼女の膝へ誘われる。泣いていると思ったその顔に、涙はなかった。
ただ、蒼い瞳がうさぎのように赤く充血していただけ。彼女はもう微笑んでいた。
意識を手放すまであと少し。
おやすみ、彼女がそう呟いたのが聞こえた。







 +  +  +  +







地上本部と六課の襲撃以来、彼女はますます生き急いでいるように見えた。
十年来の付き合いである、私やフェイトちゃん、そして八神家のみんなにはそのことは痛いほどわかった。
もともと彼女は、何もかもを自分の責として背負うきらいがある。
今回の件はますます彼女を追いつめたように思う。私は毎晩外に出た。部隊長室の電気が消えていることを祈って。
しかしその部屋は毎晩毎晩明るいままだった。
気がつくと私は、部隊長室のドアを勝手に開き、彼女の前に立っていた。
彼女は思いつめた様子で作業をしていた。驚くべきことに、私が目の前にいることにすら気がついていない様子だった。
本当は落ち着かせるための飲み物をつくってあげるだけのつもりだったのに。私が落ち着いていることができなかった。

「いい加減にして、はやてちゃん」

声を上げた自分が驚いた。しかし私の身体は、彼女の返事を淡々と待っていた。
そして彼女は、いつものように穏やかな返事でもって私に対応した。
気がつかなかった、と。

―――こんなにボロボロになって・・・どうして・・・

彼女はコーヒーをいれると言って立つなり、ふらついた。私は思わず怒りを忘れて駆け寄ろうとした。
しかし彼女は俯いて給湯スペースに歩いていった。
見られたくなかったのだろう。私が心配するから。しかし気がついているはずだ。私は心配どころか、彼女を叱りに来たのだ。
彼女はマグカップを取り出し、コーヒーのパックを取ろうとした時、二度目の眩暈が彼女を襲った。

―――もう・・・たくさんだ

「いい加減にしてよ、はやてちゃん」

勝手に言葉はこぼれた。もう少し私を頼ってほしかった。壊れそうな彼女を見るのが耐えられなかった。
無理をすることで叱られることが多いのはむしろ私のはずだった。
だからこそ、叫びたくなった。いつも私を叱ってくれるあなたを、もっと大切にしてほしい、と。
彼女の手首をとって下ろす。抱きかかえれば悲しいほど軽かった。
ソファーに下ろして、靴を出来るだけ離れた位置に置いた。

そして当初の予定通り、私が給湯室に向かった。
砂糖を焦がしてお湯でとかせばいいだけ。それにミルクを注げばできる。しかし私もやはり、強くなかった。
それができない。管理局のエースオブエースはたったひとりの女の子を奪われただけで、恋人へ贈る飲み物さえ上手く作れないありさまだった。
ミルクを温めて、他のものを溶かしいれる。

戻ると、彼女はおとなしくソファーの上に寝ていた。
起き上がる彼女がまだフラフラと危なげだったので横にすばやく入って支える。渡した無地のマグカップに嬉しそうな唇が触れた。
喉をゆっくりと上下させて彼女は嚥下していた。

「おいしい・・・」

その彼女の言葉が不意に、ヴィヴィオと重なった。
キャラメルミルクを初めて飲んだ彼女の声が耳にフラッシュバックする。
身体が震え、涙が出た。私は部隊長室まで来て、一体何をやっているのだろう。「八神はやて」を叱るはずが、私が励まされている現状に呆れてしまう。

ようやく眠くなってきたらしい彼女に、私は震える声でいいよ、としか言えなかった。
優しい彼女はそれだけで気がついたようで、彼女の身体が一瞬こわばったが、睡魔が彼女を捕らえたようだ。私は彼女からマグカップを抜き取った。
私の膝まで彼女の頭を誘導する。彼女は私の顔を見ても、どうしたの、とは聞かなかった。こうしていると私も彼女の顔がよく見える。
本末転倒だ。彼女のために私は何が出来たのだろうか。私を励まさせた分だけむしろ邪魔になったのではないだろうか。
やがてすやすやと寝息が聞こえてきた。もう聞こえるかどうかは分からないが、呟かずにはいられなかった。

「おやすみ」

すると彼女は寝言なのか分からないほど小さな声で答えたのだ。

「ハニーミルクは・・・うちだけに・・・」

思わずクスリと笑ってしまった。膝に横たわる甘えん坊な彼女の唇を少しだけ舌で触れると、ハチミツの甘さが確かに残っていた。

「約束するよ?キャラメルミルクはヴィヴィオに。ハニーミルクははやてちゃんに」

彼女はよい夢をみているのだろう。微笑んでいた。







【END】





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プロフィール

プチモルト

Author:プチモルト
お越しいただきありがとうございます♪

下手なのですが。
百合ん百合んなSSをかいちまおう
と腹を決めました!!


リリカルなんとかの教導官重視。
なのはさんが絡めばどのカプも歓迎♪

好きすぎていろいろなことを
させてしまうのはご愛嬌!!

最近は他の百合カプにもわき見運転中w

百合(女性どうしのアレコレ)とかとにかく苦手なかた、
イチハチ(性的・暴力的)表現アウトなかたは、
ブラウザバック!!
まだ間に合いますヽ( ゚□゚)ヾ

あと、読む前に必ず
※あなたの身を守る注意書き※
を読んでください。

すべて許容いただけるかたのみ、
お試し版からご覧ください。

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内緒のお話があれば、
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