最近あつくなってきましたねー
フェイトさんと同じく暑さにめっぽう弱いプチモルトも、ぐったぐったです・・・
つづきまして
なのフェイはいきたー
①なのはさん病んでる。
②なのはさんがストーカー。
③なのはさんが (ry
・・・・
⑩かなーり長いきがする
追記よりおねがいしま~す
【嫉妬しなくていい理由】
エリート執務官、フェイト・T・ハラオウンは悩んでいた。
恋人に関することだ。
その恋人とはもう10年来の付き合いとなり、恋人としてあらゆることを経験したが、ひとつだけまだ経験していないことがあり、それがフェイトの現在の悩みだった。
「それでユーノってば、今日はスーツで局に来てたんだよ?珍しいよね」
「ふふ、ユーノくんのスーツ姿??見たかったなぁ」
「書類をたくさん持ってる時にユーノを見つけちゃって。駆け寄ろうとしたらバサバサって…」
「フェイトちゃんったらかわいいなぁ、もう」
「あ、でもユーノが拾ってくれたから」
「ユーノくん優しいよね」
―――ほら、また
フェイトをこれほどもやもやさせる原因。
それは恋人である高町なのはが、これまでの十数年間、たった一度たりとも嫉妬を露わにしないことだった。
昨日からヴィヴィオは夏休み恒例のノーヴェ主催訓練合宿に行っている。
なのはと二人という閑散とした家の中の雰囲気が、
かえって私に、意識させるのかもしれない。
―――私だけが嫉妬して…振り回されているみたいで…なんだか
そうなのだ。嫉妬するのはいつも自分のほう。
ユーノと話すなのは。
ヴィータと話すなのは。
はやてと話すなのは。
嫉妬は際限がないらしく、兄であるクロノや、
なのはの主治医であるシャマルに対してまでメラメラとジェラシーを燃やしてしまう。
ソファーに腰掛けながら二人で何気なく今日の出来事を話して、
こうしてくつろげることはとても嬉しい。
しかし、その貴重な時間までも、
なのはの嫉妬を引き出そうとあくせくしてしまう。
「フェイトちゃん?」
気が付けばなのはが顔の下から覗きこんでいた。
「どうしたの?なのは」
「いや、なんだか難しい顔をしてたから…にゃはは、気のせいだったかな」
「あ、いや…その…ごめん」
「謝らないで?きっと疲れてるんだよ。ベッドに行こう?」
なのはがソファーから立ち上がり、フェイトにも手を伸ばして促す。
「ありがとう、なのは」
伸ばされたなのはの手を握るととても温かくて、
この時はフェイトもジェラシーから解き放たれる。
なのはの顔がほころんだ。
***
「それじゃ、フェイトちゃん。行ってらっしゃい」
今日は久しぶりに二人揃っての出勤。
当然、それぞれ勤めている区画が違うので、
できるだけ長く長く一緒にいられるように道を選んでも、
別れ道は来てしまう。
「うん。なのは、体に気をつけてね?」
私は、なのはのことが心配でたまらない。
体のことも。魅力的な性格や容貌も。心配でないのは能力値だけだ。
「にゃはは、心配しすぎだよー。はい、いってらっしゃいのキス」
「えっ!!??」
「してくれないの?」
そう言って頬を出すなのはに、
慌てながらも誰も見ていないかキョロキョロする私。
チュッ
「ふふ、ありがとう、フェイトちゃん♪」
「なのはぁ…」
なのはは、意気揚々と訓練区画へ向かった。
彼女が廊下を曲がるまで見送ると、私も執務官室へ向かう。
今日から数日は艦船勤務ではなく、本局でのデスクワークだ。
***
「おはよう、シャーリー」
執務官室では、優秀な補佐がすでに空調や使用機器のセッティングを終えて待っていた。
「フェイトさん、おはようございます」
優秀な部下はお茶を淹れようと給湯室へ向かう。
「待って、シャーリー」
彼女の腕を軽く触れて、彼女をひきとめた。
「はい、なんでしょう」
「あのね、今日はシャーリーに紅茶を御馳走したいんだ」
「え…」
「本当は午後がいいかなと思ったんだけど、
今日の午後は、メンテスタッフと打ち合わせなんだよね?」
「あの…でも…」
きっと、朝から上司にお茶を注がせることに戸惑っているのだろう。
しかし、もうひとおしだ。回り込んで彼女の正面に立つと両手を握った。
目を合わせて必死にお願いする。
艦船勤務がないこういう時だからこそ、シャーリーにお礼がしたい。
「だから…ね?」
「は…はい」
―――どうしたんだろう、シャーリー顔が赤い?
シャーリーの座る椅子の下に、桃色の光が見えたことに、私は気がつくべきだったが、
シャーリーの顔色に気をとられてしまっていた。
***
シャーリーに紅茶を御馳走した後、珍しい来客があった。
特別捜査官、八神はやて二佐。
私の親友でもある彼女が何を持ってきたかと思えば、クッキーだった。
「フェイトちゃん、なのはちゃんとなかようやっとるん?
八神家一同みんな心配してるんよ?」
どうやら事件と事件のはざまらしく、
表情にはゆとりのある柔らかさが見受けられた。
「はやて、突然過ぎるよ…」
「はやてさん、今お茶を淹れますね。
フェイトさんが持ってきて下さった紅茶がありますが、いかがですか?
私もさっき頂いたんですけど、すごくおいしかったです」
「それは気になるなぁ。ほなそれをたのむわ。シャーリー、フェイトちゃん、おおきにな」
お茶を待つ間手持無沙汰にしていたはやては、
私の傍に溜まった書類を一瞥すると、私の背後をとった。
「はやて、ちょっ…」
胸を揉むにきまってる。
振り返ろうとしたが、私の脇に突っ込まれたはやての腕からはなかなか逃れられない。
しかし、その腕は胸には伸びてこずに、私を羽交い絞めにしたかと思うと、
上に持ち上げようそして・・・
しかし身長の差から上手くいかず・・・
私は引きずられるように近くのゲスト用の椅子へ連行された。
「はやて?」
「はい、休憩や休憩。今から人の何倍も頑張るんやから、今のうちにな」
「でもはやて…」
「クッキー、シャーリーも」
「はい、いただきます」
シャーリーは紅茶を三人分持ってきた。
―――やはり十年来の親友は、休憩の取らせ方が強引で秀逸だな…
「ありがとう、はやて。私のことを心配してくれて」
「ふっふっふっ、礼なら体で払…「いいよ」…えぇぇぇっ!!??」
「今日は特別。あ、でもシャーリーにはやっちゃだめだよ?大事な部下なんだから」
「…フェイトちゃん、ええの?」
「ふふ、何回も聞かれると逆に恥ずかしいよ・・・えっと・・・ええよ?」
はやては私の胸のほうへそうっと手の平を伸ばす。
少し恥ずかしかったが、今日ははやてに感謝の気持ちを示したいし、
一番喜ぶお返しだと思うから後悔はない。
デスクの上に一瞬だけ光った桃色の光は、照明のせいだろうとすぐに忘れた。
***
お昼になのはと待ち合わせをして、ランチを食べた後、
執務官室の前にいたのは、ティアナだった。
「フェイトさん、来週から二人で追う案件についてお話が…」
「分かった。とりあえず中で」
ティアナはもう立派な執務官だ。黒い制服が私より似合っているようにも思う。
「紅茶飲める?」
「あ、あの…お気づかなく」
以前ティアナにもらったティーカップを棚から取り出した。
「あ、それ…」
「ティアナがくれたティーカップ。あの時はありがとう。
私だけじゃなくていろんな人がこのカップを指名するんだよ?
でもお気に入りだから・・・つい私が独り占めしちゃったりして、ね。
クロノもあの顔で、『あのクマのカップがいい』って言ったときは、さすがにおどろいたけど」
「その…恐縮です」
ティアナの顔がピンクに染まる。
かわいくて優しい部下を二人も持って、私は幸せだとつくづく実感した。
―――あれ、ティアナの肩口にも何か…ピンクの
一瞬見えた光はまたもや消えた。光のいたずらかもしれないが、少し不安が残る。
「フェイトさん、あの、それで次回の案件ですが…」
「あ、うん」
***
局の帰り。さすがになのはと帰る時間を合わせることはできなかったが、
エントランスにはなつかしい顔があった。
「シグナム!!」
ピンクの髪がさらりと揺れた。
「あぁ、テスタロッサ。今帰りか?」
「はい」
「今日は主が…世話になった」
「いえ、はやては私を心配してくれて…」
「お前は体を顧みないという、悪い癖がある。
高町なのはにも言えるが、皆をあまり心配させるものではない」
「はい…心得ました」
「いい子だな」
シグナムの女性としては少しごつごつした手のひらが私の頭をなでる。
「あの…私はもう…子どもじゃ…ないんですよー…」
「私や、シャマル、ザフィーラからすればお前たちはまだまだ子どもだ」
「ヴィータもですか?」
「まぁ、ヴィータも…」
そして、シグナムが私の背中に腕をまわして抱きしめてくれた。
親が子どもにするような優しい抱擁だ。
―――あたたかい…
「体には十分気をつけるように。なのはにも伝えろ。それではな」
そういえばここはエントランスだ。
たくさんの人がフェイトとシグナムを見ていたらしい。
フェイトから目を逸らすように通り過ぎていく。
そんな中にもう帰り支度をしてとうに帰ったはずの誰かを見つけてしまった。
そう。彼女が無表情で5メートルほど先に立っていた。
***
私から制服を受け取り、ハンガーにかけて、皺をのばす。
それをやってくれるのはいつもと変わらずなのはだった。
寝室にかかるもう一着はなのはの制服。
一度帰ったなのはは、ヴィヴィオが合宿中で夕食の時間を私に合わせようと、
サプライズも兼ねてもう一度本局に迎えに来てくれたのだ。
「なのは、本当に違うからね。シグナムは子ども扱いして・・・その・・・」
「大丈夫。見てたし、聞こえたから。にゃはは、全然気にしてないよ?」
―――ほら、また
これまでの十数年間、たった一度たりともなのはは嫉妬を露わにしていない。
―――私だけが嫉妬して…いつもそうだな…
「ふふ、フェイトちゃん?」
気が付けばなのはが私の両肩に手を置いている。顔の下から覗きこんでいた。
「どうしたの?なのは」
「嫉妬してほしい?」
「!!??」
なのはの声が上手く耳まで運ばれなかった訳ではない。
はっきりと聞こえたなのはの言葉が信じられなかったのだ。
―――知っていた・・・?嫉妬しないなのはに私が焦っていたことを・・・なのはが知っていた!!??
「わたしにはね、嫉妬しなくてもいい理由があるんだけどね?」
なのははそのまま私の肩を誘導して、ベッドに腰かけさせた。
私は私で、なのはの続けた言葉に今度は頭の中が?マークで埋め尽くされた。
嫉妬しなくてもいい理由とは一体何だろう。
なのはが空中でコンソールを立ち上げた。
いくつものウィンドウを同時に起動する。
それは複数の動画だった。撮影時刻を確認すると、リアルタイム映像ではない。
―――シャーリー!!??
そこには、私の今日の一日が記録されていた。
紅茶を飲みながら頬を染めるシャーリー。
私の胸を無心に揉むはやて。
マグカップを嬉しそうに見ているティアナ。
私を抱きしめるシグナム。
「フェイトちゃんは昔から大人気だったからね。中学の頃なんて、
私はあの手この手を使って、フェイトちゃんにたかる虫さんたちを追い払ってたんだけど・・・」
なのはは、手早くウィンドウを閉じながら、視線を私の方へ戻した。
「今はサーチを使って、本当に危険因子だけを排除するようにしてるの。
そのためには・・・その時の状況も知っておかないと、ね?」
なのはは、事もなげに笑う。コンソールを閉じた手が、そのままベッドまで降りてきた。
ベッドに置いていた私の左手を包み込む。
「フェイトちゃんが私に嫉妬するよりも、私はずーっとずーっと嫉妬してきたから」
彼女の「ずーっと」には、年月の長さも、量的な意味も含まれているようだった。
なのはは・・・私より「ずっと前から」、私より「ずっとたくさん」嫉妬していた?
いつしか柔らかいシーツに背中が当たっていた。
なのはは私の上にいる。逃げることも考えず、ただなのはの蒼い瞳を見つめた。
「疲れちゃったの」
なのはは私の頬に息がかかる距離まで顔を近づける。
「そしたら思いついちゃった。毎日ずっと、フェイトちゃんを見ていればいいじゃない、って」
私の体は震えていた。
なのはのその行動・・・普通の人からすれば常軌を逸した行動を・・・
非難することなど、微塵も考え付かなかった。
そこまで愛されていたことに、どうしようもない快楽があふれていた。
なのはの息で、唇が耳元へ近づいていくのが分かる。
「だから本当は知ってるよ?今日のフェイトちゃんはひとつも悪いことはしていない、ってね」
なのはの口と私の耳はもはや直接つながっているように感じた。
鼓膜を震わすなのはの声が私の情欲を簡単に揺らめかせる。
「でもね、完璧なこの方法にも問題点があったの」
なのはの吐息はあたたかく湿っていた。
その温度が耳を温め、濡らされることで、私はもう心地よさしか感じ得なかった。
「もんだい、てん・・・?」
声が私から漏れた。上ずって、それはまるで子供のような声。
「そう。それはね・・・」
なのはの右手が私の左手を離れて、私の頬を包み込む。
またしても温かさが皮膚を通して血流にまで伝わり、
ドクドクと全身に満ちる錯覚に陥る。
「ずーっとフェイトちゃんを見てるから、
フェイトちゃんもそのひともまったく悪くないのに、
嫉妬に似た気持ちが生まれること。
・・・誰も悪くないから、誰にも発散できないこと」
そこで初めて気が付いたのだ。なのはの声も、なのはの体も・・・
―――震えている・・・
―――泣いている?
「なのは・・・?」
なのははこちらに顔を向けなかった。
ただ、耳のそばで囁くのみだ。
「ねぇ・・・フェイトちゃん。本当に、嫉妬してほしい?」
私は震えているなのはの背中に左手を伸ばす。
彼女は嫉妬しなかったのではなかった。
できなくなったのだ。
彼女は『新しいやり方』によって情報を手に入れた。
しかし、本来知り得ない情報をもとに嫉妬することはできない。
彼女はそのことによって失うことを恐れたのだ。
今まで彼女の苦しみにさえ気づかず自分勝手に憂えていた、馬鹿な私を。
「なのは・・・」
―――こんなに小さな体が・・・震えて・・・
「フェイトちゃん、私はフェイトちゃんのことをずっと「私はっ!!」」
なのはの言葉は最後まで聞こえなかった。私が大声をだしたからだ。
あるいはなのはは途中で言葉を切らざるを得なかったのかもしれない。
「私は・・・私は・・・どんなやり方でも、なのはに嫉妬してほしい」
なのはがゆっくりと顔をあげた。
驚いた表情がそこにはあった。
「私に発散してほしい。なのはの『嫉妬』・・・」
なのはの顔にはやはり、涙が光っていた。
彼女には似つかわしくないと思われるこの雫を、
私は自分が得ることのできる最大の勲章のようにうやうやしく指で掬う。
「・・・しょっぱい・・・」
なのはの涙を口に含むと、やはりそれは塩の味。
ごしごしと片手で目をこすったなのはは、今度は弱弱しく微笑んだ。
「後悔しても・・・知らないんだから・・・っ」
後悔なんてするはずない。
私のそばにいるのが他でもない、貴女である限り。
【END】
えろくなぁいぉ(当社比)